幸せ読書

読書を通して、小さな幸せ見つけたい。

「探偵少女アリサの事件簿 溝ノ口より愛をこめて」東川篤哉  幻冬舎文庫

 

誤発注した大量のオイルサーディンとともに、勤め先のスーパーをクビになり、地元で『なんでも屋タチバナ』を始めた、俺、橘良太。三十一歳、独身、趣味はナシ、特技は寝ること。すこぶる平凡な俺が、なんと殺人鬼の濡れ衣を着せられてしまう!そんな折、俺の前にわずか十歳にして自らを探偵と信じる無垢で無謀な美少女・綾羅木有紗が現れた―。殺人鬼の疑いを晴らすため、俺はしぶしぶ有紗と事件を調べはじめるが…。溝ノ口で事件のあるところに、天才美少女探偵あり!爆笑必至のユーモア・ミステリー。

この作品を読むきっかけは、2つありました。

1つ目は、今まで読んだことのない作家さんで、キャラクター造形が丁寧で、キャラクター設定が上手な方の作品を読んでみたいという思いからでした。そう言っても簡単に見つけられる訳ではないので、どうしようかと思案しました。そこで困った私は、私の敬愛する読書家であり、ブロガーでもいらっしゃる、べるさんのブログの過去記事を拝読させて頂くことにしました。すると、何やらどうも本作の作者、東川さんがキャラクター設定が上手そうだと分かりました。それじゃ是非一度読んでみようと思ったのが、1つ目のきっかけです。

2つ目のきっかけは、東川さんに決めたと言っても、作品が沢山あり過ぎて迷ってしまいました。そこで、作品名だけずっと見ていると、そこに、「溝ノ口」という地名があるじゃないか!何を隠そう、溝ノ口は、お恥ずかしながら、私が結婚する前の妻と初めてデートした場所なのです(べた〜。その頃、溝ノ口は、本書に書かれているように「ノクチ」とは、呼ばれてないし。ノクティプラザもなけりゃ、マルイもなくて、あるのは、昔ながらの商店と飲み屋だけで、ほんと、べた〜な街でした。)当時、南武線を利用していた妻と田園都市線を利用してた私には、会社帰りに待ち合わせるには、その二線が交わる溝ノ口がちょうど良かったからなんです。そんな馴染みのある溝ノ口がサブタイトルについた本作品を読んでみたくなったというのが2つ目のきっかけです。

それで、本作を読んでまず感じたのが、東川さんの文体は味があるなぁ〜という事でした。味がある以上に、あくが強くて、それが、文章を読ます力につながっているなと感じました、それから、作品の中に小ネタがいっぱい散りばめられていてとても楽しかったです。例えば、探偵少女アリサの父親も探偵で、急いで岡山に飛ばなくてはいけないという。その理由が、岡山にいる友人の元に殺人予告状が届き、なんでも落武者伝説に纏わる八つの連続殺人事件が起きるとのこと。これって、どう考えても横溝正史ミステリをネタにしてるやんってとこが、また笑えて、面白かったです。

ミステリ的には一話目の富士山のトリックが中々面白かったです。このトリックは、多くの人が騙されるだろうなぁと思いました。

探偵のアリサと何でも屋の良太の掛け合いが面白く、とても良いコンビなので、楽しんで読むことが出来ました。確かに東川さん、キャラクター造形が丁寧でキャラクター設定が上手でした。東川さん、結構好きかも。良い作家さんに出会えて幸せです。東川さんを読むきっかけを与えて下さったべるさんに感謝してます。東川さんのこの作品、続編があるみたいなので、また読める日を楽しみにしてます。

最後に、このブログを見て下さった方で、「キャラ読み」できるような作家さん(ミステリ、ノンミステリ問わず)、出来ればシリーズものであれば尚嬉しいのですが、ご存知の方いらっしゃいましたら教えて下さい。よろしくお願いしまーす。