幸せ読書

読書を通して、小さな幸せ見つけたい。

「春季限定いちごタルト事件」 米澤 穂信 創元推理文庫

そしていつか摑むんだ、あの小市民の星を。
小市民を目指す小鳩君と小山内さんのコミカル探偵物語
小鳩くんと小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校1年生。きょうも2人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに2人の前には頻繁に奇妙な謎が現れる。消えたポシェット、意図不明の2枚の絵、おいしいココアの謎、テスト中に割れたガラス瓶。名探偵面をして目立ちたくないというのに、気がつけば謎を解く必要に迫られてしまう小鳩くんは果たして小市民の星を掴み取ることができるのか? 新鋭が放つライトな探偵物語
(紹介文引用)
 

タイトルの様に本作には、クレープ、いちごタルト、ココア、ひいてはケーキバイキングなどスイーツがたくさん出て来たのは、甘辛両刀使の私にとっては、楽しかったです。

第1話の『羊の着ぐるみ』に出て来たポシェットに入ってたのもは、この年頃なら容易に想像出来ますよね〜。でも、そういう無骨なやり方しか思いつかなかた高田君がまた、初々しく感じました。小鳩君を助けた小山内さんのコンビネーションが良かった。

第2話の『For your eyes only 』に出て来た「価値概念と数量概念がごちゃごちゃになってる高尚って言葉に、シニカルな目を向けてたんだ」という意味がイマイチ良く分からなかった。(私がアホなだけか?)

第3話の『美味しいココアの作り方』では、小鳩君の同級生(幼馴染)の健吾こだわりのココアの作り方もへぇーと思いましたが、それよりも、小鳩君の性格的なことについて、健吾に「三つ子の魂ってやつだ。」と言われて言い返したのが「男子三日会わざれば、ってやつだよ。」え!それ何?と思いました。そこで、調べてみると、「男子、三日会わざれば刮目(かつもく)して見よ」という慣用句だそうです。意味は、「人は別れて三日もすれば大いに成長しているものであって、また次に会った時は目をこすってしっかり見なければなりませんよ。」とのこと。
本作、文章は、本当にライトなのですが、ちょいちょい難しい言葉や聞いたことのない言い回しが出て来るので、米澤先生、学がお有りなんだなぁと思いましたし、私自身、大変勉強になりました。

ただ、このお話のテーマと言うか、キャラ設定の『小市民』である事の何が良いのかが最後までよく分かりませんでした。あと、小鳩君と小佐内さんの互恵関係というのも、いまいちピンと来ませんでした。それと、私は、やっぱり日常のミステリ(人の死なないミステリ)よりも、人の死ぬミステリの方が好きなんだなぁと改めて思いました。本作を薦めて下さったべるさんには、申し訳ない感想になってしまいましたm(__)m

最後に、結局、お一人様一個限定の春季限定いちごタルトの行方はどうなったのかなぁ〜。やっぱり、あのサカガミが1人で2個食べたのかなぁ〜。