幸せ読書

読書を通して、小さな幸せ見つけたい。

「鵼の碑」 京極夏彦  講談社ノベルス

百鬼夜行シリーズ17年ぶりの新作長編がついに!
殺人の記憶を持つ娘に惑わされる作家。
消えた三つの他殺体を追う刑事。
妖光に翻弄される学僧。
失踪者を追い求める探偵。
死者の声を聞くために訪れた女。
そして見え隠れする公安の影。
発掘された古文書の鑑定に駆り出された古書肆は、
縺れ合いキメラの如き様相を示す「化け物の幽霊」を祓えるか。
シリーズ最新作。
(紹介文引用)

 

ようやく読み終わりました!
いやぁ〜楽しかった!!

興奮冷めやらぬうちに、直ぐにブログの記事を書きたかったんですが、読み終わったのが、昨日の午前2時半。さすがに諦めて寝ました。

それでも、まだ気持ちも頭もホットなうちに書きたいと思って起きてすぐに、記事を書いてました。今回の記事も直接ネタバレにならない様に書こうと思いましたが、今回は、内容にも直接触れたーいと思いましたので、まだ本作を読んでなくて、この後、読んで見ようと思ってらっしゃる方は、この私の記事は、読まずに、新たに本作を読まれることをおすすめします。もう、すでに本作を読まれている方や、本作を読む予定のない方は、私の駄文にしばしお付き合い頂けたらなと思います。

ページを開いて読み出して見ると、出ました古書引用!長い!最初は頑張って読みましたが、最後の方は斜めに読んでしまいました。昔は、古書引用のページも全部しっかり読んだのですが、やっぱり歳でしょか?!でも、昔よりも古書引用のページも増えてると思う。

さて、読み始めてまだたった70ページ程だったが、やはり京極夏彦の作品を読んでいると、文学を読んでいるなぁって気がしました。ただのミステリとは違う文学の匂いがします。

そして、そろそろ誰かレギュラーメンバー登場してくれないかなぁと思っている所での関口先生の登場は、とても嬉しかったです。相変わらず、自虐的で(笑)

話は飛びますが、「そりゃ久遠寺医院ですな。雑司ケ谷の」と薔薇十字社に依頼してきた客に、益田君が言うのを聞いて、懐かしい〜「姑獲鳥」だぁ〜と感慨一際でした。

今回のお話の舞台である日光が明治時代から、外国人保養所であったとは、初めて知りました。

今回のお話において、関口先生は、頑張っていると思いました。脳が騙しているくだりなどは、まるで、哲学者のようで、素晴らしかったです。

途中、中禅寺が話す、江戸時代、明治時代、大正時代、終戦後の、政治と宗教の関係性の考察は、大変面白く、勉強になりました。

京極堂シリーズの中核メンバーがどんどん日光に集まって来る。もう、なんだかワクワクしてきます。木場修も途中から登場して来るのですが、早く日光へ行けって内心思いながら読んでました。

途中で出てくる、戦争と国民の認識、つまり、戦前、戦中と国民は本当に戦争は、厭なものだ、いけないものだと思っていたのだろうか?という辺りの考察は、深くて、もっともだなぁと思いました。大本営に情報統制され、マスコミもその統制下にあれば、もし自分がその時、生きていたら、戦争は良くないと胸を張って言えたかどうか甚だ疑問だなと自省しました。それから、学び、考え、理解して、そして判断するということは、本当に重要なことだと再認識させられました。

中禅寺が途中で言う「真面目に生きている民草が飢えるなら、それは国政の力が及ばないか間違っていると云うことなんですから、これは明らかに政治の責任でしょう。」この一文を今の政治家によく聞いて、己を鑑みて欲しいものだと強く思いました。

なんだかんだ言って、私は中禅寺の蘊蓄が好きなんだなぁと改めて認識しました。また、この時代背景ならではの世界観も好きだなぁと思いました。

今回のお話では、えのさんの活躍は少なめでしたし、中禅寺の蘊蓄も控えめでしたが、私の好きな四角い木場修の活躍が多かったのは、個人的に嬉しかったです。

この1135ページ(Kindle版)にも及ぶ長編を、飽きること無く、読者に最後まで読み切らせる力量は、京極夏彦以外には持ち合わせている作家は居ないと思います。本当に京極夏彦は凄いと改めて唸りました。

5つの切り口から少しずつ少しずつ真相に迫って行き、そして、最後に1つの真相にたどり着く時には、「鵺」が「鵼」になって、京極堂によって、全員の憑き物が落とされてスッキリ解決出来、めでたしめでたしでした。

いやぁ〜本当に楽しかった!また、もう一度最初から読み返してみたいぐらい面白い作品でした。次回作は、17年後じゃないといいのだけど。京極先生、次も期待してます!