幸せ読書

読書を通して、小さな幸せ見つけたい。

「葉桜の季節に君を想うということ」 歌野晶午 文春文庫

 

ミステリー文学賞&年末ランキング4冠! 本格ミステリーの新時代を告げた記念碑的傑作!  かつては探偵事務所で働き、いまは「何でもやってやろう屋」を自称して気ままな生活を送る「俺」成瀬将虎。 ある日、高校の後輩のキヨシの頼みで、彼が密かに惚れている久高愛子の祖父の不審死と、高額で布団や健康食品を売りつける蓬莱倶楽部の調査を引き受ける。 そして同日、駅のホームで飛び込み自殺しようとした女・麻宮さくらを助けたことで、運命の歯車が回り始める――。 蓬莱倶楽部の悪徳商法を調査する将虎の軽妙なハードボイルド探偵の活躍を楽しむあなたに、ラストで襲い掛かる大どんでん返し!?
(紹介文引用)
 

この本は、20年前に書かれた小説で、当時、推理小説を結構、読んでいた私は、この本の名前は、印象的で知っていたのですが、機会が無くて、読めませんでした。ようやく今回、機会が巡って来たのだなと思って、とてもワクワクしながら、この本を読み始めました。

本作品は、構成が非常に良く、テンポ良く読み進められました。なんか、この作家さんの文体って凄く読みやすかったです。

まるで、北方謙三の初期の頃のハードボイルド作品を読んでいるようでした。

ただ本作品は、ハードボイルド小説にミステリのトリックを仕掛けた作品で、ハードボイルドの側面は、最後まで良かったのですが、トリックの部分のネタが途中から分かってしまったので、最後まで読み進めて、やっぱりそのトリックだったのかと。もう一捻りあったら、良かったのになぁとしみじみ思いました。でも、私が本作品のトリックが分かったのは、この本の前に読んだ「かがみの孤城」のトリックと共通点があったから気づいたのでは無いかと考えてます。その共通点が無ければ、普通は、気持ち良く騙されたと思います。

この作品は、ハードボイルドやミステリというだけでなく、人生について教えてくれました。人生折り返し地点を回った私には、とても嬉しいエールをもらっている気がしました。私もまだまだ楽しみはあると思わせてくれた良い作品でした。