(紹介文引用)
いやぁ〜凄く良く出来た(緻密に練られた)小説だったなぁ。最後のどんでん返しには、完全に騙されました。この大仕掛けの大どんでん返しは、話しを一段と面白く、また、深みのあるものにしてくれました。でも、このどんでん返しがなくても、それまでだけでも、十分面白い作品だったなぁと思います。
登場人物のプロの詐欺師である武さんやテツさんを始め、まひろちゃん、やひろちゃん、貫太郎などの人物設定も良かったし、武さんの、自分のやって来たことへの後悔や、哀愁感が大変上手に描かれていて、また、他の人に対する愛情もじんわり、滲み出ていて、読んでいる私も、しんみりしたり、また時には、ほっこりしたりしました。登場人物5人の人間関係が深まっていく描写もとても良かったです。
そして、5人共通の敵である、闇金業者に対してペテンの仕掛けを実行していく「アルバトロス作戦」は、まるで、昔のテレビドラマの「スパイ大作戦」を観ているような、もう、ハラハラドキドキしっぱなしで手に汗握る展開でした。このパートが余りに面白かったので、この作戦の終わりで、作品の話が終わっても満足でした。
でも、最後のどんでん返しを読んで、ようやく、なぜ本作品のタイトルが「カラスの親指」なのか?ということが分かりました。そういう意味でも、やはり最後のどんでん返しは、良かったです。あんまり書いたらネタバレしそうなのですが、この最後のどんでん返しで、ある人の深い優しさと、その人の生き様みたいな所が伝わってきて、じわぁ〜と感動しました。
道尾秀介さん、一度読んでみたい作家さんで、ブログ友達のべるさんにお薦めをお尋ねした所、四作品教えて頂き、その中から、本作品を読んでみました。素晴らしい作品で、凄い作家さんだと分かりました。また、道尾作品読んでみたいと思います。ご紹介して下さった、べるさん、本当に、ありがとうございました。