幸せ読書

読書を通して、小さな幸せ見つけたい。

「マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ」 古内一絵 中央公論新社

 

ある町の路地裏に元超エリートのイケメン、今はドラッグクイーンが営むお店がある。そこには様々な悩みをもつ人が集まってきて? (紹介文引用)

古内一絵さん、初めて読む作家さんでした。
この本を読むきっかけは、私の敬愛する読書家のべるさんが、<2019年 ノンミステリベスト10>の1位に選ばれてらした本だったので、どんな本何だろう?と興味を持ったからです。

本書は4つの短編からできており、それぞれ色々な悩みを抱えた主人公が、シャールさんが営むマカンマランという夜食カフェにやってくるというお話です。

この本を読み始めてまず面食らったのは、初めて見る言葉に多く出会ったことです。「マカン・マラン」、「ドラッグクイーン」、「赤文字系ファッション雑誌」、などなど。「マカン・マラン」は、インドネシア語で夜食という意味の言葉だそうです。「ドラッグクイーン」は、女装で行うパフォーマンスの一種。女装パフォーマー。纏った衣装の裾を引き摺る(drag)ことからこう呼ばれるそうです。(参照Wikipedia)「赤文字系ファッション雑誌」は「赤文字」または「赤文字系雑誌」と呼ばれる20代前半の女性をターゲットにした女性ファッション誌を総じた呼び名。 表紙に飾られるタイトル(雑誌名)が、すべて赤やピンクなどの色を用いているためこの名が付いたそうです。ほんと無知な自分を恥ずかしく思うとともに、知らない言葉に出会えて勉強になりました。

この本の中には、シャールさんのある意味、達観したような、それでいてとても温かい言葉が数々でてきます。その言葉に癒やされたり、気づきをもらったりした主人公達が元気になっていきます。
私自身もシャールさんの言葉になるほどと思ったり、感銘を受けましたので、少しだけ紹介させて下さい。(ネタバレにならない程度に)
「でも、あなた、さっき、自分の見てきたものは錯覚だったんじゃないかって言ってたけどね、世の中なんて、元々全部、その人の錯覚なんじゃないの?」この会話に、なるほどなぁ「錯覚」かぁと思いました。人間はみんな自分自身の目を通してしか見られないんだから、錯覚と言えば錯覚なんだなって。
それから、「それでもこれからは、自分自身の眼差しで、不確かな未来とつき合っていこう。」という一文は、セカンドライフを歩み始めた私自身に言ってくれているようで、心に届きました。

人を惹きつける不思議な力を持つシャールさんと出会えた人は幸せだと思う。シャールさんは、多くの傷を負っている。だからこそ、多くの傷ついている人の痛みが分かるだろうなと思った。そして、そんな人が、立ち寄って心を癒せる場所を作った。それが、マカン・マランなのだ。私も可能なら、ぜひ一度、とても美味しいそうな夜食とシャールさんに会いにマカン・マランに寄らせてもらいたい。

最後に、このマカンマランを読むきっかけを与えて下さったべるさんに感謝しています。