幸せ読書

読書を通して、小さな幸せ見つけたい。

「リカバリー・カバヒコ」 青山美智子 光文社

 

5階建ての新築分譲マンション、アドヴァンス・ヒル。近くの日の出公園には古くから設置されているカバのアニマルライドがあり、自分の治したい部分と同じ部分を触ると回復するという都市伝説がある。人呼んで”リカバリー・カバヒコ”。アドヴァンス・ヒルに住まう人々は、それぞれの悩みをカバヒコに打ち明ける。高校入学と同時に家族で越してきた奏斗は、急な成績不振に自信をなくしている。偶然立ち寄った日の出公園でクラスメイトの雫田さんに遭遇し、カバヒコの伝説を聞いた奏斗は「頭脳回復」を願ってカバヒコの頭を撫でる――(第1話「奏斗の頭」)出産を機に仕事をやめた紗羽は、ママ友たちになじめず孤立気味。アパレルの接客業をしていた頃は表彰されたこともあったほどなのに、うまく言葉が出てこない。カバヒコの伝説を聞き、口を撫でにいくと――(第3話「紗羽の口」)誰もが抱く小さな痛みにやさしく寄り添う、青山ワールドの真骨頂。

(紹介文引用)
 

以前、私が「癒し系」って、青山美智子さんみたいなイメージでしょうか?と、ブログ友達のわぐまさんにお聞きしたら、わぐまさんが仰る所、『青山さんは「気付き」を与えてくれる作家さんかな?』との事でした。確かに悩んでる人に、生きていく上での、ヒントを与えて下さっているなぁと納得しました。なので、今回の青山美智子さんを読む時には、「気付き」と言う点にも気に掛けながら読んでいました。

本作の中で一番気に入ったお話しは、『ちはるの耳』でした。

『ちはるの耳』の主人公は、ウェディングプランナーの女性でした。主人公のちはるは、体調を崩して休職しなければいけなくなってしまいます。診断名は、耳管開放症。職場の人間関係によるストレスが原因みたいです。ちはるの同期の洋治と半年前に転職してきた一歳下の澄恵との2人との関係が辛くて病気になってしまいました。休職中の、ある日、ちはるが父親のスーツをクリーニング屋さんに持って行った所
、店にお婆さんがいて、ちはるのことを心配して声をかけてくれます。その内容とは・・・(これ以上書くとネタバレになりますので、この辺りで辞めておきます。)

ちはるは、このお婆さんの声に耳を傾けて、自分が今までやってきたことや、考えてたことに、気付きを得ます。(このお話の気付きポイントでした!)それで自分が思い込んでたことは、単なる思い込みで、間違いもあったと思えるようになります。これこそ、私の大好きな青山美智子らしい、温かく優しい心で、読む人間に寄り添ってくれる素晴らしい文章だなぁと思いました。これからも、青山美智子作品を追いかけて行きたいと思います。